東京大学大学院人文社会系研究科 合格体験記

 

かねてからうっすらと希望していた大学院受験を2017年の春に決意しました。大学の学部時代には特段突き詰めたい分野がなかった私は、就職し仕事を経験する中でもっと知りたいと思えるテーマが見つかりました。しかし、仕事上では中堅といわれる位置でいろいろと業務を任され、残業が常態化している生活でした。果たして勉強時間を確保できるのだろうか、という不安がありました。また30代になって身体の不調を抱えていたため、20代のような無理をしないで効率よく乗り越えるための対策も必要でした。

すべて自分で試験対策のマネジメントをするには時間がない、ということで、ある種の“アウトソーシング”をするつもりで昴の門を叩きました。ところが、“アウトソーシング”という言葉を使うのがおこがましいくらい、昴に通った期間は濃密な時間が流れていました。個人的な体験の一端ではありますが、これから大学院を目指される方の参考になれば幸いです。

〈外国語試験対策〉
兎にも角にも最大の難関は英語でした。大学受験以来の本格的な英語対策をせねばならず、英文法も英単語もすっかり抜けていたため、「英語基礎」「英語読解」「英語構文」「英語院試問題演習」の4科目を受講しました。予習は土曜日の講座終了後にすぐやること(家に帰る前にカフェや図書館といった集中できる場所に即向かう)、復習は毎日朝6時に起き出勤前の1時半を使ってやることに決めました。英単語は自転車通勤をあえて徒歩に切り替え、片道40分の道のりは必ず単語帳の音源を聴くことにしました。

受講当初の「院試問題演習」の成績は平均点にも遠く、問題を見ても正直「さっぱりわからない、どうしよう…」といった感じでしたが、日々の積み重ねの成果を信じ上記のペースを維持したところ、入試の数週間前の演習で「あ、わかる」といった実感が得られ、その変化自体が楽しみにもなりました。

高橋先生は授業で音読の効果をよく話されていました。これまでの英語学習で音読を意識したことがなかったのですが、復習の際に「声に出す=自分の声を聴く」ことで、定着を実感できたことが驚きでした。また、高橋先生が6月に上梓された『詳解 大学院への英語』(東京図書)を並行して活用できたことも大変ありがたかったです。高橋先生が英語の授業で示されている板書のポイントがそのままわかりやすく表記されていて、昴の講座と合わせて学習することで自分の理解度をはかることができました。

〈専門科目試験の用語説明対策〉
用語説明対策は以下の四つを行いました。過去問を入手して大まかな傾向を把握した上で、1)自分の希望する専攻の教授陣の著書や論考を読む、2)これまで出題されたキーワードから派生する別のキーワードを意識して調べる、3)分野に関係ありそうな最近のニュース記事を拾う、4)学会の紀要を取り寄せて関係のありそうな文章にあたる、です。院試の段階で学会の紀要を取り寄せることまでするのか、という気もしますが、そこまでの本気度が自分には必要だと考えた結果です。

〈専門科目試験の論述試験対策〉
論述試験対策は過去問を実際に想定時間内で書いてみるというのを繰り返しました。仕事で多少論文に近い文章を読むことはあっても書くことはなかったので、時間と字数の制限のある中で起承転結の文章構造を捉えるのに苦労しました。実際に書きながら自分が書けるテーマの抽斗がどれだけあるか、問題の問われ方によってどの角度から論点を照射するのが良いのかといったことを捉えていった感じです。昴の論述対策講座は受講できなかったため、高橋先生との面接の際に文章を見ていただき、具体的な改善点などをご指導いただきました。

〈面接対策〉
二次試験の面接のために自分の受験の動機を中心に、想定問答を作成しました。ここでも想定問答を高橋先生に見ていただき、面接で問われるポイントをご指導いただきました。意識したのは、なぜこのテーマなのか、なぜここの専攻なのか、入学後どのように研究を進めていくつもりか、といったことです。合わせて自分の性格やこだわりも文章化してみたこともメンタル的に功を奏した気がします。また、家族に面接官になってもらってシュミレーションを幾度かやりました。話す際のスピードや目線、間合いの取り方を意識することで自分の癖に気づくことも大事かもしれません。

〈研究計画書・卒論に代わる論文〉
研究計画書は見やすさ、伝わりやすさを意識しました。これは最初に大学院に提出するプレゼン資料であり自分の方向性を簡潔にまとめたものでもあるので、後に提出した論文の作成時や面接対策時にブレがないか確かめるためにも都度参照していました。

論文は学部時代の卒論とは全く違うテーマだったので一から書いて提出しました。一番の問題はここでも資料を読む時間の確保でした。平日の就業後や仕事のない日曜日を集中的に論文執筆にあてました。章立てと各章の骨格を決め、そこで取り上げる論点と資料を定めて書き進めました。高橋先生にも参考文献のアドバイスをいただき、添削をしていただきました。

〈最後に〉
すでにある生活スタイルのどこに勉強を組み込めるかを考え、それを実行することがいい結果につながったように思います。特に社会人で仕事をしながらの挑戦だと、勉強や本を読むの時間を要所要所で自動化し、余計なことを考える暇を省くことも必要かと思います。昴の講座を受けた期間に、自分なりの勉強のスタイルやタイムマネジメントの工夫を発見できたことも大きな収穫でした。また、授業中に高橋先生が話される現代思想やそれに関わる本の話、野球に絡むたとえ話が面白く、好奇心が掻き立てられました。学習意欲と研究へのモチベーションを高めてくださった高橋先生に心から感謝申し上げます。

※ 送られてきた原稿を一字一句変えず、そのまま掲載しています。
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