論述対策講座について

 

昴では、大学院受験における「専門科目」対策として、「論述対策講座」を設置しています。
その「論述対策講座」の特徴を、以下の項目ごとに解説していきます。

(1)大学院入試の「専門科目」とは
(2)フォーマットを確立させよう
(3)各受講生にあった「過去問想定演習」
(4)答案への丁寧な添削
(5)「論述対策講座」のレベルは?

*ここで念頭に置く大学院は、「文系」の専門の大学院です。数学などの問題を解く「理系」の大学院は想定していませんので、ご了承ください。

 

(1)大学院入試の「専門科目」とは

大学院受験では、通常、語学の試験に加えて「専門科目」の試験が課されます。
昴の「論述対策講座」は、「専門科目」の中の「論述」に分類される問題へ対応する講座です。
専門科目の試験の種類は、「知識で対応すべき問題」と「論述問題」に分類されます。「知識で対応すべき問題」を代表するのは「用語説明」の問題です。これらへの対応は「書き方」よりも、「ちゃんと知っている」ことが重要です。(もちろん、短い用語説明でも「書き方のコツ」のようなものは存在し、それについてはここで解説している「論述対策講座」でも触れます)
したがって、こういった知識の習得には、しっかりと書籍・論文を通じてインプットすることが最大の受験対策になります。
一方、「以下の文章を読み、その内容を踏まえた上で、下線部「〇〇〇〇*」について、具体的な作品を挙げながら論じなさい。」や「教育と〇〇*との多面的な関係について、社会科学的観点から論じなさい。」といった出題に対しては、単に知識として知っているだけでは対応できません。与えられた引用文や出題テーマから、学問的な関連性(relevance)を引き出して、それを自分の知識と結びつけることが要求されます。逆に、この部分のやり方が身についてくれば、新しく得た知識を使って、自分なりに論じることが上手く――そして楽しく――なってきます。昴の「論述対策講座」は、受講生が自律して学習できるようになるため、そして、試験において、それぞれが学んできたことをしっかりと発揮できるための対策を行っています。
*実際の出題からの引用のため、〇〇は伏字を表しています。

 

(2)フォーマットを確立させよう

日本の大学生、いやむしろ、日本の成人は「論理的な文章を書くのが苦手である」と、しばしば指摘されます。このことの当否は、正確な国際比較などが行われないとわかりませんが、「自分は文章を書くのが苦手だ」と思っている方は多いと思います。加えて、「文章を書くのは慣れている/好きだけれど、≪アカデミックな文章≫となると、自信が無い」という方も多いでしょう。
「論述対策講座」では、「書き方」についての一定のルールをまず学んでいき、それに則って書くことを学びます。すなわち、「フォーマットの確立」です。学術論文では、イントロダクションやコンクルージョンをつけることや、複数段落間の関係、あるいは改行時の1文字下げから、「事実」と「解釈」の分離など、様々な規範が存在します。そういった規範を具体的に身に着けていくことで、「自分の考え」を「アカデミックな基準」に則った形で執筆することが可能になります。
「フォーマット」は、ある意味で、書くうえでの制約でもありますが、まずそうした制約を学び、その規則を理解したうえで、その制約を超える跳躍をそれぞれの受講者が成し遂げることを目指します。

 

(3)各受講生にあった「過去問想定演習」

「論述対策講座」は2コマ連続の授業です。1コマ目は、上述の「フォーマットの確立」のためのレクチャーを実施します。それに対し2コマ目では、毎回、実際の院試で出題された過去問に基づいて、大学院入試を想定した演習を実施します。重要なのは、「それぞれの受講生が目指す大学院の専門問題の類題を解答する」ということです。つまり演習時に受講生全員が一律で共通問題を解答するのではなく、各自の専門の問題を選択し演習を行うことができるため、より実践的に、各自の志望する大学院への対応を目指します*。
*ただし、より開かれた形で実施する、春期集中特別公開講座の「論述対策 ガイダンスと演習」では、大学入試の「小論文」のレベルで、専門知識を問わない出題を扱います。また、春学期以降も、専門の学習に自信が無い人のために、専門知識は必要無いタイプの出題も織り交ぜて実施していきます。
「書く力」は何よりもまず、実践的に「書く」ことによってしか身に着けません。毎回、決められた時間の中で、院試を想定した問題をしっかり解答していくことが、大学院入試専門試験における論述問題対策に最も効果的です。

 

(4)答案への丁寧な添削

受講生の皆さんが「論述対策講座」の演習で書き上げた答案は、毎週、担当講師が丁寧に採点・添削して返却します。「添削」といっても、日本語の直しや誤字脱字の指摘に留まりません。論じ方・論の構成に始まり、出題の解釈や引用文の理解が十分か、知識として提示しているものがあっているかどうか、それは院試で提示するのに十分な専門性があるかどうか、事実の提示の仕方はどうなのか、あるいはさらに、具体例からもっと引き出すことができるものがあるかどうかまで、多岐にわたってコメントをつけています*。
*担当講師の話では、1人の答案添削に対して、約45~60分ほど必要だとのことです。

 

(5)「論述対策講座」のレベルは?

最後に「論述対策講座」のレベルは?という点について説明します。しばしば、「自分はちゃんと小論文の勉強もしたことが無いし、ついていけるのかどうか」というご相談を頂きます。これについて言えば、「みんな大抵同じ状況です」というのが答えでしょう。もちろん大学入試の段階で「小論文」という科目を体験されている方もいらっしゃるでしょうが、多くの人が「小論文はどうも苦手…」という状態で大学に入学しています。
加えて、大学院入試の場合、時間制限があるなかで、何も参考書を用いずに、かつ専門的な内容について論じるといった試験はほとんどの人が未体験です。「論述対策講座」は「みんな初心者」という前提からスタートして、しっかりと院試に対応する力を身に着けていきます。

 

備考

・「論述対策講座」は「特別講座」です。本科生の場合、単科生受講料の半額で受講できます。詳しくは「入学に関する面談」で担当者から説明いたします。

・「研究計画書」に関する各受講生への具体的な作成の助言・添削は「研究指導」のシステムを利用して実施しますが、「論述対策講座」のレクチャーの中でも、研究計画書の書き方は取り上げています。

 

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