東京大学 総合文化研究科共通英語試験対策について

東大 総合文化研究科 共通科目「英語I」について

昴教育研究所、英語・論述担当の高橋です。

東大総合文化研究科各専攻・コースごとの入試の特徴と対策を随時更新していきます。その手始めに、一部を除きすべての専攻・コースで共通して出題される「英語I」という科目の特徴について説明しておきます。

東大総合文化研究科(文系)では、「人間の安全保障プログラム」を除く各専攻・コースでは、「英語I」という共通科目が課されます。(外国人受験生は除く。)

これに、各専攻・コースごとに行う「外国語II(1言語あるいは2言語)」を組み合わせたものが、総合文化研究科入試の外国語試験です。

(1)「英語I」の出題の形式

総合文化研究科、「英語I」では、過去少なくとも20年にわたり、大問が3題出題されており、第1問、第2問は英文の理解を問うもの、第3問が英語の筆記力を問うものという形式は変わっていません。

(2)第1問、第2問(英文の理解を問う問題)の出題傾向

第1問、第2問は、過去、英文和訳に加えて、下線部の説明や下線部を要約させる問題など、ちょっと工夫した問題が出題されていました。

しかし近年は、「英文和訳」が多く出題される傾向があります。この背景の一つとして推測されるのが、「文法訳読」の再評価です。

近年の中等教育段階(中学校~高校)では、ダイレクト・メソッド(英語を英語で教える)など、「コミュニケーション重視」の英語教育へのシフトが起きています。しかしその結果として、「英文の意味を細部まで正しく読む」という部分が疎かになっている、という懸念もあります。学術的な外国語読解では、「おおまかな意味」の理解では、研究に役立ちません。もちろん、日本語訳を作成することだけが、「英文の意味を細部まで正しく読む」ことを試す方法ではないでしょうが、「英文和訳」の価値は、再度見直されているとも考えられます。

もちろん上記はただの推測であり、突如出題が変化する可能性はありますが、しかし今後とも、出題形式に変化があろうとも、「細かいところまで正しく理解できているか」を問う出題が続くものと思います。

出題内容は多岐にわたります。ただ、特定の専門分野に偏るのではなく、広義の文化現象について、日常・芸術・文化・研究をめぐって幅広い内容が出題されます。そこで求められるのは、『詳解 大学院への英語』(高橋著、2017年、東京図書)の序論で記した言葉のくり返しですが「英語(外国語)で、自分が今まで知らなかったこと、考えてもみなかったことを学ぶことを楽しむ態度(attitude)」であると思います。

宣伝:昴の設置科目、「英語基礎」「英語読解」「英語構文」「英語院試問題演習」では、こうした問題に対応するべく、英語を理解するうえでの基本的な知識から、単語の意味や語法の盲点、文法上の盲点など、多岐にわたる英文読解のエッセンスをお伝えしていきます。また、春期集中特別公開講座では、実際の院試を想定した試験方式の授業を実施しますので、現在の自分の実力を知るためにも受講をお勧めします。(→「外国語設置講座一覧」)

(3)第3問(英語を書く力を問う問題)

第3問については、ほとんどの年度は、「和文英訳」の形式でしたが、2015年のみ、図表の説明を50語ほどの英文で求めるものでした。(この出題については、東京大学の学部入試における、二次試験での英作文問題を思い浮かべてもらうと良いでしょう。)この傾向が続くかな、と思っていたら、翌年からはまた、過去と同様の和文英訳問題に戻っていたので、少し拍子抜けしました。なので、基本的には和文英訳の問題が出ることを想定しておくと良いでしょう。

和文英訳問題で特徴的なのは、「生きた日本語」の文章が出題される、ということです。たとえば、「私は大学に入ってはじめて、本当の意味で文章を理解することの重要性がわかった」という文が出題されたとします。この場合には、「ああ、not untilを使って書くことを求められているんだな」と理解して、それを用いて骨格を考えることができます。

一方、実際の論文・書籍からの出題の場合、そうはいきません。日本語としては意味が通る文でも、それを英語にしようとすると、言葉足らずの部分を補わなければいけないうえに、用いる構文も複数の選択肢が発生します。

宣伝:昴の「ライティング」の授業は、この英語Iの和文英訳問題への対応を主たるターゲットにして、英語を書く力の養成を目指します。春~夏学期には、知っているはずの英文法知識を実際に使えるようにする基礎固めを行い、秋冬学期では、上記のような「生きた日本語」を英語にするための様々なストラテジーを確認していきます。(→「外国語設置講座一覧」へ

昴、英語・論述担当 高橋

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