東京大学大学院人文社会系研究科・合格体験記

東京大学大学院人文社会系研究科 合格者からのメッセージ

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私は二度目の受験で東京大学大学院に合格しました。一度目の受験の際、別の大学院には合格していたので、ひとまずその大学院に進学して様子を見てみることにしたのですが、やはり自分の研究したいことの方向性を考えると東大をもう一度受けたいと思うようになり、合格した大学院に通いながら受験勉強にも取り組むことにしました。

一度目の受験の際には、外国語試験に対する準備が足りていなかったことが反省点の一つです。私は英語とフランス語で受験したのですが、フランス語が全くできませんでした。フランス語は学部の第二外国語の授業で教わった知識をおぼろげに覚えている程度で、それでなんとかなるのではないかという淡い希望を抱いて試験に臨んだのが大きな間違いでした。

再受験のため、院試に向けてのフランス語の問題集をインターネットで探していた時に偶然見つけたのが昴です。はじめはフランス語の授業だけを受けるつもりでいたのですが、英語、専門試験の論述、提出する論文の指導も受けることができると知り、本科生として昴に通うことにしました。

4月から夏休み前(7月)の期間は、進学先の大学院の授業を受けつつ、昴では中島万紀子先生のフランス語(中級演習と構文演習)の授業、高橋勢史先生の英語院試演習と論述講座の授業を受けていました。昴で予習が必要だったのは、フランス語の中級演習だけだったので、大学院の授業も支障なく受けることができましたし、院では専門試験の論述や、提出論文に参考にできそうなことも学べたので大学院と昴を両立させることができたと思います。

志望先の研究室を訪問したのもこの時期だったと思います。研究室では院試に関するお話を伺い、どんな文献が試験に役立ちそうかなど具体的なお話もお聞きすることができました。あと、東大の授業も聴講(非公式に)していたのですが、どのような方向性で受験勉強に取り組めばよいかといったことを把握することができたと思います。一度目の受験の際には研究室訪問や授業を聴講するといったことはせず、過去問だけを手掛かりに勉強していたこともあり、方向性というものを自分なりの解釈だけで把握していて、漠然としか分かっていなかった節があったように思いますが、今回、内部の方のお話を伺うことで具体的な方向性を知ることができたと思います。

夏休み期間(8月~9月)は昴の勉強を中心に、論述や提出論文執筆に向けての文献を読み込んでいました。具体的な授業への取り組みについて触れると、まず、フランス語の授業は、院が夏休みに入ってからは中級演習と構文演習に加えて上級演習も受けていました。中級演習(:訳文を授業前に作成しておくことが必須)では、仏語文章を読むことと訳文を作ることに慣れるのを主目的として取り組んでいたと思います。構文演習(:文法の授業)では、文法のしっかりした知識を身につけること、上級演習では本番試験を意識しながらその場で実際に過去問を解くということをしていました。

論述講座では、先生の講義の後(あるいは前)に、出題された問題を受けてその場で考えたことを論述していく練習をしていました。先生が毎回コメントをくださるので、それを参考にこれからどうしていけばいいかなどを意識することができたと思います。英語院試演習では、英文を日本語に訳出することに慣れるということを念頭において取り組んでいました。これまで読んだ英文は訳出する必要のないものばかりでイメージで意味を理解していた面も多かったのですが、訳出する際に具体的にどのような日本語に表現し直すとよいかということなどを学んでいくことができたと思います。

10月以降は、引き続き昴での勉強に取り組みながら、提出論文執筆に向けて本格的に取り組み始めました。11月にそれまでに読んだ文献を参考に論文の大まかな章立てを決め、12月から本文を書き始めました。(本当はもっと早い時期に書き始める予定だったので、ぎりぎりのスタートで結構焦っていましたが、なんとか提出に間に合うよう書き終えることができました。。)論文執筆以外に、12月・1月はそれまで勉強してきたことの復習を中心に勉強していたと思います。

受験生の方がすると良いのではと思ったことを挙げるとすれば、ひとつは志望する(あるいは興味のある)研究室を訪問することです。もちろんこれが一番重要というわけではないので、「院試受験をするのであれば研究室を訪問しなければならない」、とこだわる必要は全くないです。でも一度目と二度目の受験を比較して、研究室を訪問して内部の方のお話を直接伺うというのは、自分にとっては研究室の方向性を知る上で大きなプラスになったように思うので、ひとまず志望する研究室にコンタクトを取ってみると良いのかなと思います。特に私のように他大学から東大大学院を受けようとする場合には、内部の事情を把握するのに役立つのではないかと思います。

あと、付け加えておくと、志望先の教授に連絡を取るべきかどうか、ということを受験を考えている多くの方は迷われるかと思いますが、まずはその教授が所属している研究室に連絡を取ってから教授に紹介していただく、という手順を踏まれると良いのではないかと思います。もちろん直接連絡を取って全く構わないという先生もいらっしゃって、(あるいは大学院によっては教授に連絡を取ることがむしろ必須である場合もあるので、)そのような場合は特に問題はないと思いますが、中にはそうでない先生もいらっしゃいますし、特にそれまでに全く面識がなく、マニュアル的なアプローチをされることをあまり好まない先生の場合には研究室を通してワンクッションを置いて連絡を取った方がスムーズに事が運ぶと思います。当てはまらない場合も多くあると思いますが、一例として参考にしていただければと思います。

準備過程などは人それぞれなので一概には言えませんが、私の例を挙げると、

(1)過去問を入手してどのような問題が出されるか把握する

(2)過去問を解いて自分の程度を知る

(3)受験勉強を始める(具体的にはフランス語の勉強のし直しと、自分の専門分野に関する文献を読み込むなど)

(4)研究室訪問をする・授業を聴講する(内部の方のお話や、紹介された文献を読むことで研究分野の枠組みの方向性を知る)

(5)論文を書き始める

と、大まかにはこんな感じだったと思います。

一度目の受験の際は(2)の段階までの状態で受けたので落ちて当然だったと思います。でも、これだけでちゃんと合格される方もいらっしゃると思うので一概には言えませんが、ただ私に関して言うと、(フランス語はさておき)志望分野における枠組みがどのような議論をベースに設定されているのかという理解がしっかりできていなかったかと思います。抽象的な表現ですが、枠組みの議論に関する理解を深め、院試で論述する際の方向性を把握するうえで研究室訪問は(私の場合は)大いに役立ったと思います。

あとは、東大は外国語試験でまず足切りが行われるようなので、専門試験にばかり気を取られずに、外国語試験対策もしっかりなさっておかれることをお勧めします。じっさい、研究室を訪問した際に担当していただいた方にも「外国語をちゃんと勉強しておくように」と何度も言われたので、外国語に関しては参考にしていただいて損はないかと思います。

とりとめもなく長々と書かせていただきましたが、だいたい以上になります。

私個人の成り行きをつらつらと書いていったので、分かりにくい箇所も多々あるかと思いますが、院試の勉強に取り組む際の参考になればと思います。

最後となりましたが、お世話になった昴の先生方、一年間ご指導していただき本当にありがとうございました。

※送られてきた原稿を一字一句変えず、そのまま掲載しています。

東京大学 人文社会系研究科、早稲田大学 文学研究科合格体験記

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